研修員スピーチ

2025年度 企業競争力強化のための品質・生産性向上(ベーシック・カイゼン) new!
〜Nelsonさんの謝辞〜

2025.11.20 閉講式

研修員:Mr. VALVERDE LOPEZ Nelson Eduardo(ニカラグアより参加)

2025年10月20日から11月20日までの1ヶ月間、10ヶ国(ベリーズ、ボリビア、ブラジル、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ニカラグア、パラグアイ、ペルー、ベトナム)から10名の研修員が北九州市のJICA九州に集まり、品質&生産性向上に関する技術研修が実施されました。尚、2025年10月6日から10月15日までの10日間は来日前の事前オンライン遠隔研修が実施されました。

閉講式で謝辞を述べるNelsonさん


閉講式修了後、関係者一同で記念撮影
 このスピーチを始めるにあたり、先ず私達をご教授くださった先生方、そしてJICA職員の皆様に申し上げたいことがあります。それは、研修中の文化交流、規範の遵守において、そして何よりも、皆様と私たち自身がお互い知り合い、さらには自らの能力を発見する過程の中で、皆様のお手数やご迷惑をおかけすることもあったかと思います。深くお詫び申し上げます。そして同時に、心からお礼申し上げます。私たちの国を訪れる時があれば、私たちは全力で対応いたしますので、どうか、いつでも頼ってください。
 この研修員代表挨拶に「インポスター、偽者の旅」というタイトルを付けました。なぜだかおわかりになりますか?それは、この旅の始まりは、日本で皆さまが受け入れてくださった時に始まったのではなく、もっとその前から始まっていました。ここにいる10人、研修への参加を思いがけず招待されたものいれば、競争から選ばれた人もいます。または、この研修の第一候補でなかった人もいて、それぞれの様々な願いや、拒絶、葛藤などから、すでにこの旅は始まっていたのです。様々ないきさつがありながらも、私たちの道は絡み合い、運命、神、宇宙、あるいは皆さん達、私たちの理性を超えたすべてが、私たちをこの旅へと導きました。それは、私たちの舞台を時には試練にさらす旅でもありました。


MOBIO大阪訪問
 日本に住み、学び、暮らすことは、KAIZENの方法論と理念を学ぶだけでなく、人間の本質、その最も純粋な創造を再確認するには最も信頼できる方法だったと思います。共存し、励まし、支え、互いを思いやり、笑い合い、愛し、たとえ言語が違っていても、私たちの多くにとって、チームとして帰属し共存する必要性の方がより強いことを理解させるものでした。

 カイゼンは単なる方法論ではありません。日々の業務、チームワーク、優先順位付け、行動管理、計画、検証、修正、そして全員の幸福のためにチームとして意思決定を行うことで、私たちは知らず知らずのうちに自分自身を金のように磨き上げ、より輝きを増していくことができます。私たちは偉大な人々や専門家から学び、実際の天気は快晴でなくても、毎日を太陽のように明るく幸せな日として大切にしてきました。カイゼンが伝えてくれた最も重要な教訓は「まず始めること」でした。 一日で人生を変える必要はありません。整理し、分類し、エネルギーを与える行動を取り、そして何よりも、自分の潜在能力を最大限に発揮するのを妨げるものを心と体から取り除く必要があります。常に、一人ではできません。ツアーガイド、パーソナルトレーナー、私達の仲間のリンのようなGoogleマップや神のガイドが必要です。


造幣局広島支局訪問
 これは終わりではありません。日本滞在以前と以後の私たちの物語の始まりです。新たな星の輝きの始まり、物語と経験を語る時です。実際に寒い日々、雨を乗り越え、自分を見失い見つけ、時には方向を見失って歩き、バスや電車で居眠りし、降りるべき駅を忘れてしまいながら、ここにいる研修員の母国、ベリーズ、グアテマラ、エルサルバドル、ボリビア、ブラジル、エクアドル、パラグアイ、ペルー、ニカラグア、そしていつの間にかラテン系になった私たちの愛するリンの国ベトナム、仲間の国々を少しずつ知っていきました。

 課題は明らかです。私たちは、日常の生活に戻り、安らぎをもたらす日常の生活に戻ります。けれども、これまでと同じでなく、ものづくりの理念、日々の小さな習慣、そして大きな結果に支えられた今までとは異なったビジョンを持って日常の業務に戻っていかねばなりません。


トヨタ九州訪問
 「インポスター」としての私たちの旅路について語るこのスピーチを締めくくるにあたり、この旅路の根幹を成す存在であった波多野さんに心からの感謝を捧げたいと思います。彼女を通して、人間の温かさ、愛、そして友情は今もなお存在し、人の偉大さは小さな行い、気配り、そして献身の中にあることを改めて思い知らされます。リーダーの鳥飼さんは、私たちの行動や失敗を常に見守ってくれ、厳しくもユーモラスな私達のストーリーの父でした。オフィサーの加藤さんはいつも優しく気配りにあふれていました。そして、JICA九州センター山口次長、KITA小田原専務理事、皆様の多大なご支援に心より感謝申し上げます。

 最後に、講師の山本さん、最初遅刻してしまった私達に「信頼関係ってどうやって築くの?」と問いかけた山本さんの助言と導きに、心から感謝いたします。信頼関係は、山本さんの手の中にある心、思い出が詰まったスーツケース、そして「カイゼン」と呼ばれる小さな一歩一歩で築かれていきました。
ありがとうございました、日本。ありがとうございました、JICA。そしてここにいる仲間のみんな、そしてすべての生命に感謝いたします。