技術協力

JICA草の根技術協力活動「プノンペン都 廃棄物管理改善事業」を終えて new!

2023.05.23

技術協力部 部長専門員 澤田 献

引継ぎワークショップ後の集合写真

 新型コロナによる2年3ケ月の中断を経て、2022年5月にカンボジアへの渡航が再開され、第2期活動がスタートしました。
 最終処分場チームは、7月に懸案だったワークショップを開催し、水質問題、火災対策、延命対策、安定化処理などについて討議しました。そして12月には、副知事、環境局長、処分場関係者ら6名を北九州市に招き、処分場に関する本邦研修を行いました。福岡大学の樋口名誉教授による「福岡方式」準好気性埋立の講義の後、北九州市、福岡市、宮崎県都城市の処分場を訪問し、水処理を含めた管理の実態を勉強しました。その他、新門司焼却工場や遠賀中間リレーセンターも見学し、更にエコタウンセンター等で、資源ごみの分別回収・リサイクルについても学びました。プノンペン都では、ごみの搬入量が急増する中、現行のダンコール処分場が満杯間近であり、新処分場の建設が急務となっており、現在計画検討中でありますが、この研修は時宜を得たものであり、大変参考になったと研修員から高い評価を得ました。処分場の管理レベル向上のためには、日常操業や重機の点検整備などに関する作業マニュアルが必須なのですが、彼らは未整備の状態でした。そこで本邦研修でマニュアル作成のポイントを学び、帰国後に彼ら自身で初の「最終処分場作業マニュアル」を作り上げ、始業前ミーティングやチェックリストによる日常管理を始めたことは、人材育成、技能伝承の面からも、大きな成果となりました。


最終処分場 初の作業マニュアル(表紙と目次)
 住民啓発チームは、第1期に協働で作り上げたアクションプランがほぼ遂行されたことに加え、渡航中止期間中に実行された改革(廃棄物公社の発足、収集運搬会社CINTRI社独占から3社国際入札化、定時ごみ出し・回収の徹底、Wet/Dryごみの分別開始など)の効果で、トラベック水路及び周辺道路での不法廃棄が激減したことを確認しました。更に、現場での聞取り及び対象地域の住民500名からのアンケート結果から、9割近くの住民が“ごみ管理が改善された”と実感していることが判り、これを踏まえ、ごみの減容化・リサイクル、本活動のプノンペン全都への横展開の2項目を追加したアクションプランのアップデート版(AP2)を作成しました。


感謝状授与式での集合写真
 2023年3月の最終渡航時には、対象地域で住民と共に一斉清掃を行い、都庁大講堂でプノンペン全都から160名が参加して「引継ぎワークショップ」が開催され、プノンペン都からの本活動の成果発表の後、AP2の実行に対するHay副知事の決意表明をもって足掛け5年に渡るプロジェクト活動を締めくくりました。
 カンボジアは今まさに経済発展途上の国であり、今回の草の根活動をベースに廃棄物管理を更に充実させていくことを切に期待してやみません。