技術協力

ベトナム国ハイフォン市における高濃度有機系排水を対象とした高性能排水処理システム普及・実証事業(その3) new!

2023.05.23

技術協力部長 麻原伴治、部長専門員 宮田利勝、青蝸S治

設備譲渡式(譲渡証書への署名)

 約2年に渡る活動中断を経て、2022年5月から現地活動を再開しました。据付けが完了している処理槽に制御操作盤、ブロワー等の機械電気機器の設置を行い、6月に工事が完了しました。その後、試運転を開始すると共に、ハイフォン市農業農村開発局職員に対するOJTによる知識・技能習熟教育を行い、運転作業標準書を作成しました。


ハイフォン市に譲渡したCMシステム
 9月には、「ハイフォン市グリーン成長計画」における高濃度有機系産業排水に対して有効な処理技術であることを周知するため、産学官の関係者を対象に設備見学会、排水処理技術セミナーを開催しました。参加者は約100名で、現地のテレビや全国版農業新聞でも紹介されました。その後、11月にハイフォン市職員5名の訪日研修を行った後、2023年2月23日にJICA担当者殿も出席いただき、完了報告会、設備譲渡式を行い、設備を正式にハイフォン市に引き渡しました。

 CM(Catalysis & Microorganism)システムは、従来の活性汚泥法では処理が困難な高濃度の有機排水を法規制値まで処理することが十分可能な技術ですが、使用する酵素資材が高価なため、イニシャルコストが活性汚泥法に比べてやや高くつく半面、汚泥の発生量が少ないことからランニングコストは安くなり、トータルコストでは有利です。しかし、ベトナムの企業経営者は、イニシャルコストを重視する傾向にあります。このため、今後の事業展開では、先ずは既存の処理施設のCMシステムへの改造を主なターゲットとし、ベトナム国内での浸透を図り、新規案件へとシフトさせることによりベトナム国内の水環境の改善に寄与していきたいと考えています。