国際研修部トピックス

2023年度来日研修 青年研修 再生可能エネルギー C アフリカ(仏語)コース new!
〜身の丈に合ったアフリカの再生可能エネルギー〜

2024年1月21日〜2024年2月9日

コースリーダー 山下幸介

研修訪問先での集合写真


研修訪問先での写真1
 本研修は、再生可能エネルギーやその他のクリーンエネルギーを担当する省庁の公務員で、再生可能エネルギーの供給と利用を拡大するための政策立案に携わる青年を対象としており、将来のリーダーとして、日本の再生可能エネルギー政策や制度、その導入・運用に関わる諸問題について基本的な理解を深めることを目的としている。

 研修プログラムは、国や地方における再生可能エネルギーに関する戦略・実行、太陽光発電、風力発電、太陽熱利用、地熱発電、小水力発電、及び水素エネルギーの利用等広く浅く幅広い講義から構成されている。またこれらが実施されている設備や施設を直接視察して実感することにより、その理解を確実なものとしている。


研修訪問先での写真2
 研修に参加したメンバーはアフリカのアルジェリア、チュニジア、チャド、カーボベルデ、セネガル、ガボン、コンゴ民主共和国、ジブチの8ヶ国からの12名であり、殆どの研修員は国の電力・エネルギー公社の管理職であり、国の安全保障の要であるエネルギー戦略を担っているという自負が感じられた。

 アフリカと言っても各国の事情は様々である。例えば、エネルギー資源が豊富にあっても、それを温存させながら再生可能エネルギーを導入していこうとする国、エネルギー資源はあっても自国ではうまく活用できない国、水力資源が豊富でもダム発電所を建設するお金が無い国、豊富な天然資源を持ちながら、内戦で消耗し水力発電所を増設できず、民間の電化率が極めて低い国、資源の無い島国で電力インフラの乏しい国、地熱発電のポテンシャルはあるが長年放置されてきた国などである。即ち、既に再生可能エネルギーを積極的に導入している国もあれば、都市部から離れた地方での電化率が極めて低い状況で、再生可能エネルギー以前の既存電力供給の問題を抱えている国など多様な状況である。


研修訪問先での写真3
 また今回のメンバーは年齢や技術的な理解度において、かなりばらつきが多かった。本来の対象者は30歳代前半までのこれから知識を取得しながら技術を磨いてゆく段階のまさに「青年」であり、カリキュラムは再生可能エネルギーを浅く広く修得することを目標としている。しかし今回のメンバーは、40歳代が12名中の5名で、専らマネジメントを行っているベテランや専門技術を深めたベテランが含まれており、講義や視察先での興味・質問・集中の程度は各メンバーの経歴により様々で、講義中の質問から意見への発散、視察先の説明者に対する傾聴態度のばらつきが大きかった。これらは日本人の感覚から想像し難いものであった。

 当初、講義において質問は非常に多く出るが、次第に意見を言い合い、雑談に変わり発散系となる状況であった。しかし次第に相互の理解も進んでくると和気あいあいの雰囲気となってきた。心配していた最終のアクションプラン発表も各国の実情に合わせたプランを出してきてひと安心であった。例えば、地熱資源を持った国の発表では、JICAが進める大規模な開発とは別建てで、別府での視察にヒントを得て、温泉を利用した小型バイナリー発電と温泉リゾートを組み合わせた案を計画していた。水資源の豊富な国の発表では、未電化の地方の村に小水力発電を設置して、電灯及び村の特産物を加工する設備を導入するといった身の丈に合った実行可能な発表であった。これらを聞いてよくここまで来てくれたと胸をなでおろしたところである。今後、各研修員が自国の実情に見合ったアクションを展開して活躍することを期待する次第である。